合同会社ポルト

ゲストハウスの立ち上げを機に、飲食店やメディアの運営も

陸路で本州から九州、九州から本州に渡るとき必ず通過する旅の要所である門司港に、2018年、ゲストハウス『ポルト』が誕生した。

イタリア語で「港」を意味する通り、“旅の疲れを癒し、新たな船出を見届ける、旅人たちの港のような宿”を目指している。

このゲストハウス立ち上げをきっかけに誕生したのが、合同会社ポルトだ。現在ではゲストハウス以外に、複数の飲食店も運営。その中でも『S&C』は様々な教室やイベントスペースを提供している実店舗と、企業トップのインタビューや地域の文化を取材したWEBメディアの双方からアプローチしている画期的な形態を取っている。

また、名前や地名が入ったオリジナルグッズの販売と、セミオーダーでグッズに好きな名前が入れられるお店『OH!NAMAEYA!』のオープンも予定している。

代表・菊池のアイデンティティ

そんなポルトの代表・門司港生まれ門司港育ちの菊池勇太さん、なんと男ばかり7人兄弟の6男。

6男ともなると、「人に譲る精神が身につく」と菊池さん。自分が目立とうとは思わない、のだそうで、菊池さんと接していると、褒め上手かつ人のいいところを見つけるのが得意だなぁ、と感じた。

菊池さんの元で働く人たちも、なんだか縁側でお茶をすするようにのびのびと仕事をしている印象を受けた。社員の得意分野を見抜き、うまく業務を割り当て、そして一通りはじっくり社員に委ねる。6男として虐げられ、打たれ強く育った菊池さんには、会社を経営する上での“我慢強さ”さえ感じさせられた。

当の菊池さんはと言えば、謙虚なだけで知れば知るほど“なんでも出来る人”というイメージを持たずにはいられない。自らも長年飲食業でバイトした経験があり、料理上手。前職でのマーケティングリサーチ経験を活かし、世の中の動向を読む才にも長けている。そして、次々と新しい事業を展開する実行力も持っている。社員に委ねつつも、しっかり舵を取っているのは、7人兄弟という環境で培ったしたたかさなのかもしれない。

門司港で働く、ということ

さて、そんな菊池さんが門司港で会社を立ち上げた理由とは。

昔から人が行き交い、大量の文化が混じり合ってきた土地だからこそ、門司港の人たちは大らかでオープン。菊池さんの分析によると、門司港の人たちは “何があっても、なんとかなりそう”な人たちなんだそう。それがすごく今っぽい、と菊池さんは言う。門司港の人たちがもともと持っている気質が、閉塞感を打ち破ってくれる。今のトレンドに門司港は合っている、と。

「あくまでも自分の仕事を楽しむのがベース」と言う菊池さん。それがみんなの楽しさになればいい。そんな人生を楽しむ“門司港イズム”が根付いている菊池さんが経営するポルトは、門司港に流れる風と同じく、今っぽい“心地よさ”を感じる。閉塞感とは無縁の会社。今求められているのはそんな会社ではないだろうか。