小野建株式会社

鉄のプロ集団、東証一部上場の鉄鋼商社

小野建株式会社(小倉北区)は1926年創業、鉄鋼商品の流通販売をおこなう鉄鋼商社だ。現在は建材の販売、工事の請負まで業容を拡大、売上高2000億円超、北九州に本拠地を置く数少ない東証1部上場企業のひとつである。BtoBの専門商社であるため一般的知名度はそれほど高くないが、業界内では異彩を放つ存在として広く知られている隠れた優良大企業だ。

小野建、新日鉄に喧嘩を売る。業界の革命児。

小野建と鉄鋼業界のターニングポイントは、小野建による海外鋼材の輸入販売だ。当時国内に流通する鋼材はすべて国内製、業界は封建的で流通も鉄鋼メーカーから商社、商社から特約店と定められたルート、定められた価格で販売しなければならなかった。当時特約店だった小野建は業界ナンバー1を目指す信念、顧客は鉄鋼メーカーではなくユーザーであるという信念、国内業界も国際マーケットで戦うことになるという信念から、業界内の反発をものともせず海外鋼材の輸入を実行した。このDNAは今も小野建に強く残っている。

愛をもって仕事をする、徹底的な顧客主義

「市場が価格を決めるになりましたが鋼材の価格には大差はありません。その中でどこから買うかを決めるのは「愛」だと思っています。顧客の立場に立って、愛をもって仕事をすれば顧客は理解してくれます。」小野社長(68)はそう語る。2000億円を超える売上規模になっても小野建の社員は鋼材一本の要望まで真摯に対応する。その姿勢は顧客からも「小野建さんは熱量が違う」と評判だ。海外鋼材の輸入に続き、商社にも関わらず鉄骨工事の一括受注を始め業界地図を新たに塗り替えた小野建だが、これも徹底的な顧客主義と社員の熱量が成しえたものだ。

大家族主義、体育会系企業

「やるからにはナンバー1を目指す。俺は社員の「オヤジ」でいたい。」そう話す小野社長の雰囲気は良い意味で1部上場企業社長のそれではなく、中小企業の社長だ。「優秀な人間なんか求めていない。見ているのは人間性、真っ直ぐで根性があれば必ず一人前になる。頭が悪いというな、勉強をしてなかったと言え、それなら今から勉強しろ、私はそう言います。」小野社長は豪快に笑う。自分が愛するムスコ(社員)にやりたいことやらせる、小野建の成長の原動力はここにあるのかもしれない。「大事なのは何の仕事をするかではなくて、誰と仕事をするかだと思います。当社は垣根が本当にありません。一応1部上場企業なんですけど社長室もなくて社長もみんなと同じフロアにいるんですよ(笑)。」若手社員の長瀬さん(23)からは体育会系の逞しさがにじみ出ている。体育会系の学生にうってつけの企業、域活編集部はそう確信した。