株式会社ゼンリン

国内最大手の地図情報会社

株式会社ゼンリン(戸畑区)は1948年創業、東証1部上場、地図情報の調査・制作・販売を行う、言わずと知れた北九州を代表する企業だ。

他国に類を見ない個々の住宅の表札名までを網羅した精緻な地図は、1000人態勢の現地調査スタッフにより日々更新されている。1980年代から他社や社会に先駆けて情報のデータベース化にも着手、GPSに対応した世界初の民生カーナビゲーション用ソフトを開発したのも同社である。

紙媒体である地図情報のデジタル化への先行投資はゼンリンを国内最大手の地図情報会社へと飛躍させた。移動、配達・配送、行政サービス、社会インフラの保守、同社なくしては我々の生活は成立しないといっても過言ではない。

知・時空間情報の創造により人びとの生活に貢献する

XY(2次元)の情報を網羅したゼンリンが現在進めているのは、Z(高さ・深さ)とT(時間)情報の網羅だ。

「すべての地物をデータベース化し、利活用する。」

同社の鶴岡執行役員はそう語る。

同社では地物のデータベース提供だけでなく、それらを利活用したサービスの提供も強化、もはや地図情報会社というカテゴライズは適当ではないかもしれない。2020年にはNTTと資本業務提携を発表した同社、ディープデータにこだわったIoT、AI時代に向けた地図の高度化戦略に今後も目が離せない。

これは写真ではない、ゼンリンが制作した3DMAPだ。

ゼンリンにとって北九州は故郷(ふるさと)

大分県別府市で創業、同市の観光案内事業をルーツにもつゼンリンだが、販路拡大に向けて1954年には北九州へ移転、「北九州の企業」を自他共に認める。

「北九州という地域・人びとの、武骨でこつこつ積み重ねる気性が、当社の地図づくり(地物データ収集)にも影響を与えています。営業の軸は東京に移りましたが、生産拠点は今も北九州です。北九州に育ててもらったという恩義、創業者、2代目の想いは、今も当社に深く残っています。」

社長室の鶴田課長は過去に思いをはせる。

我々はチャレンジャー

社員の末吉さん(37)は元々カスタマーサポートを担う部署にいたが、社内の企画コンペで自身の企画が採用され今は新規事業の推進を担当している。

「東京で仕事をしているとまだまだ当社の知名度は低く、規模も小さいことを痛感します。自社が大企業であるという認識はもっていませんし、むしろチャレンジャーであると思っています。ゼンリンで働きたいと思ってくれる人がいるならば、まずこの認識をもって欲しいですね。」

大企業の驕りをもたず常にチャレンジャー意識をもって挑戦を続ける、ゼンリンの強さの秘訣はそこにありそうだ。