株式会社木山組


1965年から続く、左官の専門企業
木山組(八幡東区)は50年以上の実績をもつ、日本が世界に誇る「左官」の専門企業である。北九州市周辺のマンション・ビル・商業施設などの「野丁場(のちょうば)」を主体事業とし、ポンプ車を使った躯体のコンクリート打設工事や、建築工事の質を左右する下地づくりなど、重要且つ繊細な業務を担っている。ひとつとして同じ条件下にない、オーダーメイドの現場に対応すべく、コミュニケーションを大事にした職人チームである。


左官業を次世代に繋ぐため、社内教育を重視する取組
「左官業は日本が世界に誇る生活文化であり、人々の生活に寄りそう職人の技。とくに現場ごとに調合した素材で鏝(こて)を使い平滑に仕上げながら、壁や床などに機能面と装飾面の両方を同時にもたせていく技術はまさに日本の伝統文化です。」そう語るのは木山社長。



木山組ではOJT(ジョブオンザトレーニング)が主流といわれる業界では珍しい、先輩職人の技術を録画した映像を使用して学ぶ「モデリング手法」、現場用語トレーニング、塗り壁トレーニング、といった社内教育に力をいれている。また、国家資格の二級左官技能士取得を4年目までに実現するサポートを惜しまない姿勢にも、伝統文化の担い手であるという心意気を感じる。この取組に応えるように近年は業界未経験の若い人材、女性人材の募集も増えているそうだ。
愛する街を自らの手で仕上げていくような喜び
次世代を担う木山取締役は「当社は創業以来、北九州市内を中心に様々な民間工事・公共工事に携わってきました。左官の仕事は外壁や内壁に携わる業務ですので、この街の表情を自ら作り上げているような喜びを感じる面があります。だからこそ仕事の質向上のため、日々の業務とあわせ新しい素材・工法、近代的な建築素材に頼らない伝統工法の維持継承にもチャレンジすることも大切にしています。」と目を輝かせて語ってくれた。


木山取締役はボランティアで「左官業とはどんな仕事なのか」を、地元小学校教育の一環として伝えるような取組にも活発に参加している。脈々と続く左官技術の伝承に現代的な教育システムを兼ね備えたハイブリッド企業、木山組は左官のイメージを大きく更新しようとしているに違いない。
職人仕事の伝承にまっすぐ向き合う会社だと思います
「私は福岡県立小倉高等技術専門校の左官科にて1年間学んでから木山組に就職し、念願だった一級左官技能士を取得も実現しました。自分が修行をしていた頃は、現場をこなしながら覚えていく仕事のやり方が当たり前でしたが、当社はそこをきちんと教育システム化していることは業界に先駆けた良い取組だと考えています。自分は技術とあわせて、先輩から教えてもらっていた職人としての考え方や姿勢を後輩に伝えていくことを心がけています。もちろん、自分も職人としてまだまだスキルアップをしたいと考えているので、本当に一生かけてやれる有意義な仕事だと思っています。」と語る精悍な佇まいの職人。歴史と時代、そしてこの先の将来を見据えた、木山組から目が離せない。
